話その1 私が仏を好きな訳
「なぜ若いのに仏像が好きなの?」見仏が趣味だというとよくされる質問である。
世間一般にとって仏像は年寄りの趣味というイメージがあるので、同年代の人と見仏に行くとよく寺の方に「学生さんですか?」と勉学の一環で見に来ていると勘違いされがち、若者が(あんまり若くないけど)趣味で仏像を見ているとはまず思われない。
なんらか理由があって好きなのだろうが、正直自分でも良く分からない、なかなかやっかいな問題。でも分からないじゃこの文章が終わってしまうので自分なりに分析してみた。

1.世界観が好きだから
ゲーム世代だからだろうか、仏教は知れば知る程、ロールプレイングゲームに登場しそうな世界観だなと思う。寺の道具や建物、四天王や十二神将が身につけている甲冑や武器は、現代にあって非日常的な中世の世界をそのまま残しており、想像力をかきたてられる。
十一面や千手観音など、様々な功徳を表す為に合体したハイブリットな仏像には何か魔法的なものを感じるし、医療をつかさどる薬師如来や知恵の象徴文殊菩薩などキャラクターづけされた仏像も魅力的。魔法の呪文のようなお経や、紋章のような梵字、呪術的パワーを感じる祈祷など、仏像を取り巻く全体の世界観が好きなのがまず一因だろう。

2.彫刻としての芸術性に魅了されるから
仏像制作の技術は当時の最新で最高の技術が使用されている事が多い、これは仏教が外来の新しい文化と共に伝来した事と、時代ごとの政権の庇護を受けて成熟した芸術だから。
そうしたトップクラスの芸術家の作品を目の当りにできる事と、何百年もの間さまざまな人々の信仰を受けて大切に守られて来た仏像を、今でも見る事ができる感動があるからだと思う。

3.みうらじゅんの影響
ここまでハマるのに、みうらじゅん&いとうせいこうの著書「見仏記」の影響は大きかった。仏像を拝んだり鑑賞する対象から、つっこんだりして「楽しむ」対象としてとらえた見仏の旅は衝撃的。二人のまるで外国人のような自由な視点が、今まで日本人が日本文化を見る時の常識を覆して、より気軽に仏像にふれるきっかけを作ってくれたと思う。
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